息子の写真を撮っていると、「あ、これ見たことある」とか「なんか懐かしいな」と思うことがある。
幼い頃の私と息子が重なり、忘れていた記憶がぶわっと溢れ出す。
不思議なことにそれは、
幼い頃の自分を、空中から見下ろすようなアングルからとらえた過去の記憶なのだ。
これはなんなのだろう。誰の記憶なんだろう。
幼い頃の記憶を自分で再編成しているのだろうか。
忘れかけている記憶の掘り起こしが楽しいのだろうか。
あの頃の幼心を取り戻したいのだろうか。
それとも、この不思議な感覚の虜になってしまったのか。
「俯瞰で見ているあの映像は何なのか」を知りたい、ただの好奇心や探究心?
答えはまだでない。
2021年夏、まるで自分の記憶のページをめくるように、夢中で写真を撮った。
あとに残るのは、
ひたむきにめくった楽しさと、めくることで残りのページが少なくなっていく物悲しさ。
それは、夏の終りに感じる切なさと似ていた。